UA値の計算とC値の測定を分ける

- 代表値・平均値・自宅値を別の欄で読む
- UA値は自宅の外皮計算書と仕様書を受け取る
- C値は測定時期・方法・報告書の交付を決める
- 地域区分・積雪・気象は住所に合う公式資料へ戻る
UA値とC値は示している対象が異なる
UA値は外皮平均熱貫流率です。国土交通省の計算資料では、住宅内部から屋根・天井、外壁、床、開口部などを通って外へ逃げる熱量を外皮全体で平均し、外皮熱損失量を外皮面積の合計で除して求めます。外皮を構成する各部位の面積、熱の通しやすさ、外気などへの接し方が計算に関わります。単位はW/(㎡・K)で、値が小さいほど外皮面積当たりの熱損失が小さいことを示しますが、室温や光熱費そのものを表す数値ではありません。
UA値は設計計算として読む
C値は相当隙間面積です。国土交通省の設計ガイドは、JIS A 2201:2017による例として、送風機で建物内外に圧力差をつくり、圧力差と通気量から総相当隙間面積を求め、それを住宅の延べ床面積で割る考え方を示しています。日本規格協会が公開する規格概要も、送風機を用いて建物や建物の部位の気密性能を試験する方法を定める規格だと説明しています。設計図から求めるUA値と、建物を対象に試験するC値は、取得する時点も資料も異なります。
C値は現場測定として読む
二つの数値を足したり、一つの総合点へ換算したりしません。UA値の根拠は自宅用の外皮計算書、C値を契約条件にする場合の根拠は自宅の測定報告書です。会社が掲載する代表値や施工事例の結果は、質問を作る材料にはなりますが、自宅の結果として扱いません。
| 項目 | 何を示すか | 自宅で受け取る資料 |
|---|---|---|
| UA値 | 外皮面積当たりの熱損失 | 図面に対応した外皮計算書 |
| C値 | 試験から求める相当隙間面積 | 測定条件を含む報告書 |
| 断熱等性能等級 | 住宅性能表示制度の評価項目 | 取得する評価書と対象項目 |
| 省エネ性能表示 | 地域区分に応じた断熱・エネルギー消費性能の表示 | 対象住宅の評価結果 |
UA値は自宅の形状・断熱・窓・地域区分で読む
断熱材の商品名や厚さだけでは、自宅のUA値を判断できません。屋根または天井、外壁、床または基礎、窓、玄関ドアなどの面積と仕様を外皮計算へ入れます。建物の凹凸や吹抜け、窓の大きさを変えると外皮の面積や部位構成も変わるため、カタログのモデルプランと自宅の計算結果は分けます。窓はガラスと枠の仕様、面積を読み、断熱材は施工する部位と範囲まで仕様書へ結び付けます。
自宅の形状と窓を計算へ入れる
方位はUA値の計算条件として直接並べません。窓の方位は、日射を冬に取り入れるか、夏に遮るかを検討する別の軸です。国土交通省の省エネ性能表示では、UA値と、冷房期の平均日射熱取得率であるηAC値を地域区分に応じて評価します。南向きの窓だからUA値が良くなる、北向きだから悪くなるという読み方をせず、熱の逃げやすさと日射取得・遮蔽を別々に設計者へ説明してもらいます。
地域区分と断熱仕様を照合する
会社から数値を受け取ったら、どの図面番号で計算したか、断熱材と窓の仕様は何か、建築地の地域区分はどれか、設計変更後に再計算するかを読みます。契約前の間取りがまだ動く段階なら、代表的な数値と明記し、最終計算を行う時期を工程へ入れます。計算書には部位ごとの面積や熱貫流率などが並ぶため、仕様書の品名だけでなく計算に用いた性能値の根拠も受け取ります。
- 記入例:数値[ ]/自宅設計値・商品代表値[ ]/図面番号[ ]/計算日[ ]
- 外皮仕様:屋根・天井[ ]/外壁[ ]/床・基礎[ ]/窓[ ]/玄関ドア[ ]
- 地域条件:建築地[ ]/省エネ地域区分[ ]/参照した公式表[ ]
C値は測定する建物・方法・時期を契約資料へ入れる
C値を会社比較に使う場合は、最初に候補会社の公式ページや測定方針を受け取ります。全棟で測るのか、希望した住宅だけか、別途費用が必要かは会社ごとの事実であり、一般論から推定できません。過去に測った建物の平均、特定の施工事例、自社の目標、自宅で保証する値も意味が異なります。表示された数値の横に、対象棟数、対象期間、測定条件、目標か保証かを記します。これらが公表されていない会社には、自宅を測る契約にできるかを個別に尋ねます。
測定する建物と時期を決める
測定方法については、JIS A 2201:2017に基づくか、測定を行う者と使用する方法、報告書へ記載する項目を受け取ります。単に「気密測定を実施」と書くだけでなく、住宅のどの状態で測るかを工程表へ入れます。施工途中と完成時では、建具や設備など建物の状態が異なります。どちらが一律に優れていると決めず、何を目的にその時期を選び、完成後の状態をどう扱うかを候補会社へ説明してもらいます。
報告書と未達時の扱いを決める
目標値や保証値を契約へ入れる場合は、測定結果が届かなかったときの手順が必要です。隙間を探して補修するのか、再測定するのか、引渡しや費用にどう関係するのか、対象外となる開口や設備は何かを契約前に記します。測定値だけを保証と呼ばず、保証の対象、免責、対応方法まで書面へ入れます。直接の一次資料や候補会社の公式方針がない段階では、「全棟測定」「完成時測定」などを会社の事実として掲載・断定しません。
| 表示の種類 | 読み方 | 必要な根拠 |
|---|---|---|
| 施工事例の値 | 特定の建物で得た結果 | 建物条件、測定日、方法 |
| 平均値 | 複数の結果をまとめた値 | 対象棟数、期間、集計条件 |
| 目標値 | 設計・施工で目指す値 | 未達時の補修・再測定 |
| 自宅実測値 | 建てる住宅の結果 | 自宅の測定報告書 |
| 保証値 | 契約上の条件を伴う値 | 対象、免責、未達時の対応 |
数値が小さいだけで室温・光熱費・結露を断定しない
UA値は外皮の熱損失、C値は試験で求める隙間の指標です。どちらか一つの数値が小さいことだけで、すべての部屋の室温、毎月の光熱費、結露の有無を一律に説明することはできません。窓から入る日射と夏の遮蔽、換気方式、給排気口、暖冷房設備の能力と配置、間取り、設定温度、家族の運転時間なども関係します。性能値の比較と、実際の暮らし方を前提にした設備計画を別の欄で読みます。
数値だけで室温を断定しない
光熱費の試算を比べる場合は、使用した気象データ、床面積、家族人数、在宅時間、設定温度、設備の効率、運転時間、料金単価をそろえます。前提が異なる試算は金額だけを横並びにしません。試算値を将来の請求額として保証する表現がないかも読みます。窓の方位と庇は日射取得・遮蔽の説明、UA値は外皮熱損失の説明として分けると、設計意図をたどりやすくなります。
換気・日射・施工と一緒に読む
換気は、方式名だけでなく、給気口と排気口の位置、フィルターの交換や清掃、ダクトの点検、必要な電力、暖冷房との関係を図面へ入れます。気密を高めるという説明を受けた場合も、計画換気の設計と施工、引渡し後の手入れを同時に尋ねます。
福島県内は住所から地域区分・積雪・気象資料を選ぶ
省エネ基準の地域区分は、都道府県名だけで一つに決まりません。国土交通省の地域区分表で建築予定地に該当する市町村をたどり、合併前の区域など条件が付く場合は住所を設計者へ示して根拠となる行を受け取ります。「会津だから」「浜通りだから」という呼び方だけでUA値の基準や提案仕様を決めず、自宅に適用する地域区分を計算書へ記載します。
住所から地域区分を確かめる
積雪は、省エネ地域区分とは別の設計条件です。福島県が公開する市町村ごとの垂直積雪量を、屋根、雪止め、落雪範囲、屋外機器、駐車、雪置場の計画にどう反映するかを確かめます。個別の敷地条件を追加で考慮する場合は、設計者が用いる資料と反映先を分けて説明してもらいます。雪の量に関する条件をUA値の計算要素へ混ぜず、構造と敷地利用の資料に分けます。
積雪と気象資料を設計条件へ戻す
気温、積雪、風などは、福島地方気象台や気象庁の最寄り観測地点の資料を使います。観測地点と敷地の標高や地形が同じとは限らないため、データをそのまま自宅の値と断定しません。設計者に、どの観測資料を、暖冷房、凍結、日射、屋外設備の判断へ用いたかを説明してもらいます。地域ラベルによる一括説明ではなく、住所、公式区分、観測地点、設計へ反映した内容を一組で記録します。
- 住所[ ]/省エネ地域区分[ ]/表の該当行[ ]
- 垂直積雪量の資料[ ]/屋根・外構へ反映した内容[ ]/見積項目[ ]
- 最寄り観測地点[ ]/参照した項目[気温・積雪・風など]/設計上の用途[ ]
代表値・平均値・自宅値を分けた比較表を作る
会社から数値を受け取ったら、最初の列へ数値を書かず、「何の値か」を書きます。商品の代表値、モデルプランの計算値、複数棟の平均値、自宅の設計値、自宅の実測値、契約上の保証値を分けます。そのうえで、対象商品、図面番号、建築地、計算日または測定日、方法、第三者評価の有無を横へ置きます。条件がそろわない数値は無理に順位を付けず、資料の不足として残します。
数値の対象と根拠を記録する
平均値には、対象となる棟数、期間、建物の選び方、測定条件が必要です。最良値には、どの建物で得たかが必要です。目標値には、未達時の手順が必要です。これらが書かれていない場合は、営業担当者の説明を比較表へ直接転記せず、公式資料または自宅用の書面を求めます。数値の小ささだけで会社の施工品質全体を評価しません。
同じ条件で各社の資料を並べる
比較表の記入例は、「指標[UA・C]/値[ ]/代表・平均・目標・自宅[ ]/設計・実測[ ]/対象商品[ ]/図面番号[ ]/地域区分[ ]/計算・測定日[ ]/方法[ ]/保証[有・無・条件]」です。空欄があるときは、その欄を埋める資料名と受取予定日を記します。
契約前から引渡しまでに受け取る性能資料を決める
契約前には、自宅のUA値を計算する時期を確認し、断熱仕様書、窓仕様、省エネ地域区分、換気計画を受け取ります。住宅性能表示制度を利用する場合は、取得する評価書、評価項目、申請者、費用、交付時期を一覧にします。設計変更で窓や外皮仕様が変わったときは、どの時点で計算書を更新するかも工程へ入れます。
契約前に受け取る資料を決める
C値を自宅で測る契約にする場合は、測定時期、方法、測定者、費用、報告書、目標または保証、未達時の補修・再測定を契約資料へ入れます。引渡し時には、施工内容を反映した図面と対応する計算書・測定報告書かを日付と番号で照合します。契約時のモデルプラン資料だけを最終記録として保管しません。
施工中と引渡し時の確認を残す
性能資料をそろえた後は、数値の保証と会社独自の長期保証を混同しないよう、「住宅保証の年数・延長・有償条件を比べる」で対象、免責、点検、延長条件を読みます。自宅へ適用する断熱や窓が標準か追加費用かは、「注文住宅の標準仕様とオプションの見分け方」で仕様書と見積書へ結び付けます。